「北極百貨店のコンシェルジュさん」

それほど興味はなかったのだけど、タイミングが合ったので観てきた。

様々な動物達がお客様としてやってくる百貨店で、おもてなしをする人間の従業員の物語。全お客様が人間ではなく、全従業員は人間です。動物はほぼ全員二足歩行です。

憧れのコンシェルジュとして北極百貨店で働きはじめた主人公・秋乃の、失敗と成長、挫折と希望。それを彩る周りの動物たちのドラマ。

まあ、百貨店コンシェルジュのドラマとしてはお約束な感じで「そうはならんやろ」的エピソードを並べて最後は感動させて終わ…ったと思うのだけど、ラストに差し掛かったシーンあたりで津田健次郎に後頭部を殴打されてから先の記憶がない。

津田健次郎っていつもあの声であのテンションなので、強い個性をもつ名脇役とは思いつつもあまり意識をして来なかった。本作でも登場した瞬間から「おっ津田健次郎」くらいの感じでスルーしてたところに、件のシーンである。

実のところ津田健次郎とは無関係に感動シーンなので、当初よりウルウルしてた。お約束でそうはならんやろ〜と思いながらも素直に感動できるくらいには大人なんである。とはいえまあ、これでめでたしめでたしかな〜と油断してたところに、津田健次郎のとんでもない芝居をぶち込まれて涙腺は決壊した。この人、こんな芝居するんだ!アニメ観てて泣いたことは少なからずあるけど、純粋に芝居だけで泣かされたのは初めてかもしれない。

ということで津田健次郎以外の印象があんまりないのだけど…

 

・キャラクターは人間も人間以外もわりとシンプルなデザインなのだけど、お店や商品なんかのディテールが妙にきれいで良かった。それが「高級百貨店」の雰囲気を良く演出していたと思う。宝飾品や時計や香水の瓶もきれいなんだけど、特に素晴らしいのは料理。めっちゃお腹すいた。

・客が動物であることの意味は、基本的に無い。「絶滅種に対する人間の贖罪」という設定は明らかにされるが、ぜんぜん掘り下げない。原作だともっとなんかあるのかな。

・多様性とか格差みたいな話にもなるのかと思ったけど、直接的にはほぼ無かった。におわせくらいはあったかなあ。

・各エピソードもやや雑な印象。時間的制約によるものだろうか。

 

以上まとめると、料理と津田健次郎が良い作品、ということになるが、まあ合ってると思う。