「赤髪の白雪姫」

2015年放送のテレビアニメ1期を観た。

言うまでもなく、早見沙織出世作。と思ったらWikipedia早見沙織項の「代表作」には入ってないですね。そうか、どちらかというと本作のオープニングテーマ曲「やさしい希望」が早見沙織の歌手デビュー曲、という位置付けの方が強いのか?いやしかし早見さんクレジット筆頭だよ?まあ作品自体の影響力が基準か…

とにかくそういう動機で、予備知識ゼロで迂闊に観はじめたところ、かなり衝撃を受けてしまった。2015年に、こんなにも王道少女漫画様式のアニメがあったとは!原作が少女漫画であることくらいは存じ上げていたし、少女漫画は嫌いじゃないのだけど、最近ご無沙汰してたのもあって、ここまでのものはちょっと今の私の免疫では抵抗できないかもしれない。

しかしアニメーションが良いのである。良いアニメーションはそれだけで推進力になる。そしてもちろん、主人公・白雪役である早見沙織の声とお芝居がやっぱり素晴らしい。好みの問題と言われれば、それはそう。

ということでぼちぼち進めていく中で、少女漫画文脈に関する知識の不足により、ついていけなかったところもあった。

・えっ、白雪とゼン、いつの間にそんなに仲良く?そんな会話とかあった?あ、それが「出会い」ってこと…?(2話)

・えっっっ!ふたりまだ付き合ってないの!?そうか確かにまだ「手続き」が無いもんな…「手続き」大事だよね…(6話)

という感じで若干メタ的に見て斜に構えてたのだけど、なんか後半に向かうに従って様子が変わってきた。

あれ、すごく、良くなってきたぞ…?

そうか。思い返すと、この作品はキャラクターがとても丁寧に作られていて、ひとつひとつ気持ちを積み重ねて物語を紡いできたのだ。だからこそ、序盤は少し「薄っぺらい」印象になったのだろう。しかしその薄膜が層を成し、しかもその一枚一枚をきちんと見せてきたから、視聴者も想いを共有できている。その集大成としての11話の「手続き」。

別に意外でもなんでもない展開なのだが、流れるような演技からの最高の着地である。全方位良し。脚本も演出も作画も音楽もそして芝居も素晴らしい。アニメーションの到達点。

名作でした。

2期もすぐ観る。