「みのりて 溶ける息/消える境」

「みのりて」という、メゾソプラノ、フルート、チェロのトリオ。そのコンサートを聴いた。

現代の曲を多く演奏する人たちなのだけど、まずあまり聞かない組み合わせで、サウンドのイメージがつかない。つかなくないですか?

ところが、聴いてみるとその親和性に驚き、それでいて三者三様の多彩な音色の広がりに魅了される。声も楽器も響きがとても豊かなものだから、それぞれが三声部(ぜんぶで9声)やってるんじゃないかみたいな感覚になる。さらに、今日の会場である東京オペラシティのリサイタルホールは、それがよくハマっていたと思う。

 

そしてこちらも多様な今日のプログラムから、いくつか感想。

 

タンギー「Le jardin des délice《快楽の園》」

かっこいい曲だった。ていうか何がかっこいいって、演奏するお三方の御姿!はじまる瞬間などあまりに神々しくて、そのままブロンズ像にしたかった。せめてアクスタとかにならないかな。

 

・ラッへンマン「temA」

界隈で話題沸騰だった、みのりての「temA」をついに聴けた。しかし何だったのか…ほんとうに息が溶けていく…夢に出てきそう。

 

・河崎純「捨て子たち 星たち 2023」

とても素敵だった。とても好き。冒頭の歌とチェロだけで泣きそうになっちゃった。

 

・坂田直樹「《春愁三首》〜大伴家持の三つの和歌より」

歌もフルートもチェロも鳥の、鳥人間コンテスト。目を閉じれば朝靄のなか里山を進む映像。鳴き交わす鳥たち。フルートの鶯のBメロ(なんていうの?ホーホケキョのあとのやつ)がかわいかった。しかしやはり鳥人間コンテスト優勝はチェロかな…ラストのヒバリ(?)は圧巻の鳥だった。