林檎のおいしい季節

私の推しりんごはシナノスイート。

甘みが強く、しかし酸味と香りがそれぞれにしっかりと主張しながら、食感も含めてバランスが素晴らしい。

収穫時期が10月下旬ころとりんごの中では早めだし短いので、うかうかしてるとシーズンを逃してしまうので注意である。当然ながら、いまはもう売ってない。

 

りんごは、一般に流通している果物の中では、柑橘やいちごと並んで品種を意識することが多いものと思う。

ふじ、つがる、ジョナゴールド王林、トキ、黄王、紅玉などなど、数えればキリがないが、スーパーで青果売場を通りがかるタイプの人ならば、買って食べたことはなくても、あー見たことあるわくらいには感じるのでは。

シナノスイートはその名のとおり長野で開発された品種で、シナノゴールド、秋映と並んで長野の「りんご三兄弟」と呼ばれる。ちなみにシナノドルチェという品種もあるがシナノスイートとは別のもの。

 

ところで、りんごは、一般的な認識と比べると案外鮮度が重要な果物である。一両日中に、というほどシビアではないが、「新鮮なりんご」という概念は存在する。

保管技術も進歩しているので、スーパーに行けば旬を過ぎたりんごも売ってる。特にふじは、保存性・貯蔵性が良いそうで、ほとんど一年中手に入る。

それはそれでありがたく頂くとして、しかし、旬のりんごを、できれば生産地で、願わくば採れたてで食べる悦びというのがある。そんなりんごは、口にすればどの品種もその特徴を鮮烈に発揮して輝いてる。

ということを12月のサンふじを食べながら感じた。やはり長期保存されたふじとはまったく違う、まさに旬の美味しさである。

と思ったのだけど、偉いので一応ちゃんと調べてみたら、サンふじとふじはホントにちゃんと違うんだって!

ふじは袋を掛けて栽培されて、サンふじは袋を掛けない(太陽に当てるという意味で「サン」)という違いで、分類的な品種は同じ。じつはそこまでは知っていたのだけど、その結果として、サンふじは味が良くなるらしい。なるほど、そういうことはありそうだ。しかしその代償として保存性はふじに劣るそうで、したがってサンふじは今が旬で美味しいのは当然で、年が明ければ出回らなくなり、ふじに売場を明け渡すのである。

近所に八百屋などあれば、毎日店先を覗くだけでもこの「品種の移り変わり」を感じられて面白い。私の推しりんごがシナノスイートなのは簡単には揺るがないが、結局のところ同時に出回る品種は多くはないので、その時その時の旬をいただく。

そしてやっぱりそれを長野の直売でやりたいなあー。あれはほんと美味いので!