「永遠の都ローマ展」

金曜夜は20時までやってるとのことで、仕事終わりに行ってきた。上野の東京都美術館で12月10日まで。

https://roma2023-24.jp

ローマというと、私にとっては塩野七生の「ローマ人の物語」で一通りさらった、みたいな感じで、つまりきちんとした知識はあんまり無くて、時間軸と地理関係はなんとなく認識してるというくらい。

内容は、カピトリーノ美術館の所蔵を中心とした、ローマの歴史における文化・芸術作品の展示。芸術的価値というよりも歴史的位置付け、展示品自体の詳細よりもその取り扱われ方を軸にキュレーションされており、私的にとても興味深く鑑賞できた。

しかし全体的に「永遠の都!ローマ!わっしょい!」みたいな雰囲気ではあって、「ローマ」の凋落・堕落の流れに触れず、上澄みだけをきれいに見せられたような、なんともいえない居心地の悪さがあった。カピトリーノがそんな感じなんだろうか?しかし、それでも芸術の「利用方法」をわかっている為政者がいたからこそこういう展示もできようが、それに比べると…という気分にもなる。

いちばん気にいった展示は「トラヤヌス帝記念柱の正面全景」。ピラネージによるトラヤヌス帝記念柱の詳細かつ正確な版画なんだけど、もう完全にオタクの所業。限界オタクに金と時間を与えたらこうなった、みたいな仕上がり。そして古代ローマ大好きピラネージ(本人は18世紀の人)は、さまざまな「オリジナル古代建築」を融合した版画なんかも作ってしまうガチさ。楽しそうでなにより。

とまあ、真面目に(?)歴史の勉強してきた風を装ってはいるが、じつのところ真の目的は音声ガイド。

そう、音声ガイドが早見沙織だったから。我ながらそろそろしつこいとは思ってる。すまねえ。

ナビゲーター諏訪部順一、ナレーション早見沙織という顔ぶれによる音声ガイド、率直に言ってすげえ良かった。声が。早見沙織の声が好きなのはもちろんなのだけど、中でもこの「硬派で優しく落ち着いたナレーションのトーン」は本当に素晴らしい。いちばん好きかも。アニメではこういうの出てこないので、マジで嬉しい。滔々と澱みなく、それでいてリズミカルで色彩豊かなナレーションは、まさにプロの仕事。美しい鼻濁音に聞き惚れる。音声ガイド機器の操作方法や返却についてアナウンスする早見沙織も新鮮。

そして、諏訪部順一のドラマティックで色香の漂う語りとの対比がまた良かった。

諏訪部順一早見沙織の声を堪能したい方にはかなりおすすめ。なんと、スマホアプリの音声ガイドもあって、これはアプリでガイドを購入して自分のスマホで聞くのだけど、つまり会場を出ても会期の12月10日までは聴き放題。というか会場のチケットを買う必要すらない。べ様とはやみんのファンは買って聴いたら良いと思う。

なお1月5日からは福岡会場での展示となるが、こちらの会期中もアプリが使えるかは不明(現時点ではアプリのメニューには載ってない)。現地の音声ガイド機器は普通に使えるんじゃないかな。

 

(追記:1月5日より福岡会場版もアプリで購入可能になってます。会期の3月10日まで聴き放題。)