ドトールのたましい

学生の頃はそれなりにいくつかバイトを経験したのだけど、その中でもドトールはわりと楽しかった。まあ、バイトの良し悪しなんて半分以上が「面子による」よね。

バイトすることで社会出て役に立つことなんて基本的にはなくて、強いて言えば「理不尽に慣れる」…というか「理不尽の存在を知る」くらいしか思いつかない。のだけど、じつは、ドトールで学び、いまだに大いに役立ってることがある。

想像に難くないと思うが、ドトールのピークタイムは昼時と夕方。どこのポジションにいてもクソ忙しいのだが、やはりいちばんカオスになりがちなのはドリンク担当、フード担当である。ドリンクでもフードでも、まあーいろんなメニューがあるので、いろんな材料を冷蔵庫などから取っては出し取っては出しすることになる。で、気づくと作業台の上がそんな材料だらけになってたりする。ドリンクなら、牛乳パックとホイップとアイスロイヤルのボトルと…みたいな感じで。

で、店長からご指導いただいたのが、「忙しくても使ったらいちいちしまえ」である。常に作業スペースをきれいにしておく。店長はまあ、例に漏れずバイトからは疎まれがちではあったし、私も言われたときは「そんなこと言ったって〜」くらいに思っていたような気もするが、実践してみると確かに良い。というか、ある程度「それはそうかも」くらいに感じたので実践してみたんだろう。

「しまう」「つぎ使うときにまた出す」動作はもちろん増えるが、そんなのは数秒の話であり、作業スペースが広くスムーズに動けることの方が効いてくる。そしてそれ以上に、散らかってると「やばい!カオス!」というメンタルになってしまい非常に見通しが悪くなるので、片付けることで「はい!次はこれ!」がすんなり出来るようになる。

ということでだいぶ年月の経った現在にいたるまで、このときの学びが生活に活かされている。私は完全に「片付けられない人間」なんだが、料理中のキッチンだけは極力整理しているくらいに。お菓子づくり、特にスポンジケーキなんかは段取りひとつで簡単に失敗するので、始める前にシンクを含めてキッチンを片付け、それを保つのは重要なコツである。

ところで連れ合いはあんまりそういう思想を持っていない散らかし系なので、比較することであらためて効果を実感でき、大変都合が良い。相手がただの綺麗好きだったら、私の学びなど一笑に付されて終わりであっただろうよ。

なお、この学びをより広く仕事にも活かせたらいいんだが、会社のデスクの整理とかはぜんぜんダメですすみません。