子供に請われて観てきた。
「自分が観たかっただけだろ!子供のせいにすんな!」
という声が聞こえる気がするが、いやほんとに、観る気なかったんですわ。
じつはSPY×FAMILYそんなに好きじゃないんですよ。ヨルさん役が早見沙織だからという理由でテレビシリーズ1期はひと通り観たけど、当のヨルさんのキャラクターがあんまり好きじゃないというとても大きな問題が立ちはだかり、あまり入れ込めずにいる。好みの問題なので致し方ねえ。声とビジュアルだけでは好きになりきれない、という程度にはキャラクター原理主義者である。ただし、作品全体としては「雑なホームコメディとして大変出来が良い」と高く評価してる。サザエさん、クレヨンしんちゃんに並べても遜色ないと思ってる。が、結局のところ2期はあんまりちゃんと観てないし、映画は金ローで観ればいいか…とも思ってる。
とはいえ、小学生の「映画観に行きたい」という気持ちは尊重したい。同じくSPY×FAMILYをそんなに好きじゃない連れ合いとどっちが同行するかと言ったら、それならまあ、どちらかといえば自分かなあということで。
でも実際観てみたらとっても云々!という展開を期待するところだが、実際観ても隅から隅までバッチリSPY×FAMILYで、上記の印象はまったく更新されなかった。
いや、必ずしも悪い意味ではなく、つまり「出来の良いホームコメディ、その劇場版」としての矜持を大いに感じた。笑うべきところは笑った。個人的には、毎年恒例でオリジナル脚本による劇場版を作ればいい思ってる。自由度が高いホームコメディなので、めっちゃ向いてると思うんだよ。年中行事としてのドラえもん、クレしん、コナン、そしてSPY×FAMILYだと。それはそれで「今年はどうかな〜」って楽しみになりそう。たぶん金ローで観る。
あ、SPY×FAMILYの好きなところもあるのだけど、それも同じだった。つまり、この劇場版でいちばん良かったのは、ボンドがおいしいごはんを貰えたところ。
そう、SPY×FAMILYという作品、原作にしてもアニメにしても犬に対する解像度が異様に高い。ボンドのキャラクターも、犬的な部分とキャラ的な部分のバランスが絶妙で良いし、テレビシリーズからアニメーションの動きも素晴らしい。テレビ2期でいうと、オープニング映像のロイドがボンドを跨ぐとことかかなり好き。そして、劇場版では「犬にもおいしい(しかし健康的な)ごはんをあげてほしい」という観客(犬派)の心理をきちんと理解している。
シリーズを通じて犬エピソードには事欠かない。アーニャの「犬が欲しい」に応じて出かけて行ったのはペットショップではなく譲渡会。散歩の時はリードを短く持つし、走らせるのはドッグラン。ドアが開く音のする前にロイドの帰宅に気がつく犬。びしょ濡れになると細っそくなる犬。SPY×FAMILYは「正しい犬アニメ」である。
原作者とアニメスタッフが犬飼いなんかな?そういえば今どきの作品にしては猫が出てこないな…
ということで、劇場版SPY×FAMILYは「犬が幸せな映画」として大変おすすめです。