「ふたりの距離の概算」

米澤穂信古典部シリーズ、私にとってはアニメ「氷菓」の、時系列的に続きにあたる小説。原作まったく未読なんだけど、続きあるんだ〜しかも2年生になったりするんだ〜、と思って読んでみた。

はじめて米澤穂信を読んだのだけど、途中、「ジャムにしては高いが、高いだけあって美味しい専門店のジャム」が登場して、米澤穂信好きになった。

文脈としてはこれがジャムである必要性はあんまりなくて、「評判のお菓子」くらいでも良い気がする。たぶん米澤穂信ご本人が「ジャムにしては高い専門店のジャム」を食べて「高いだけあって美味しい」と思った経験があるのだろう。好感〜。まあ、知らんけど。

とか言ってるうちにさっさと読み終わってしまった。とてもおもしろかったのである。いま、さらに続編の「いまさら翼といわれても」読んでる。

ミステリーとしての面白さというよりは、文章が好み。言葉の織り方のリズム感が好きなのかな。言うなれば、私が(書けるものなら)書きたい文章に近いのだと思う。これを読んでいる諸氏は耳を疑うかもしれないが。読んでいるのだから疑うべきは目か。

それから、私にとっては「アニメ原作」なので、そういう色眼鏡で読み始めてしまったが、これが驚くほど違和感なく入っていけた。これはあれだ、アニメ「氷菓」の出来が異様に良いな。プロットをかなり忠実になぞりつつ、原作のリズムをうまくアニメーションに落とし込んでいる。アニメだけ観てるとちょっと間延びするような感じもあったのだけど、なるほどなあそういうことか。小説のイメージをより広く伝える手段としてのアニメ、つまり「異様に出来の良い紙芝居」。いや、アニメの範囲を読んでないのでまだ結論づけるには早いが。

惜しむらくは、伊原摩耶花のビジュアル無しでテキストを読んでみたかった。アニメは伊原摩耶花がとにかくかわいいので。ただ、原作の摩耶花さんはふくちゃん大好きなのが目に見えてわかる(なにしろテキストで書いてある)ので、若干ですが好きになりきれない感があります。